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July 08, 2009

坂本 昇

Sakamotonoboru

アジアンパラダイス以前のサーフィン映画はほとんどが米国で製作されたもので、登場するサーファーもほとんどがカリフォルニア・ハワイ・オージーで日本人が登場することはなかった。それでも年に数本上映される時の勤労会館は凄い盛り上がりで、いかにサーファーのノリが良いかがはっきり現れていた。そんな中「ストームライダース」では戸倉さん・蛸さん・博道が登場し大歓声を浴びたもんだった。そしてやっと現れた日本人の制作による「アジアンパラダイス」では実に登場するサーファーの90%が日本人というそれまでにない画期的なサーフィン映画となる。なんと言ってもアジアンパラダイスに登場する日本人サーファーの中で、その圧倒的存在感を示したのは「坂本昇」だった、恐らく最年長でありながらその波に対する愛情と挑戦の心情はストレートに我々に飛び込んできて感動させられたものだった。今では石井さんとともに八丈で隠遁生活をおくる坂本氏もこの撮影当時は様々なアクシデントに見舞われたようで、SCに投稿された文章はリアルにその間の模様が描かれていた。以下SC,SEPTEMBER 1983より
「私は今までに数えきれないほどの旅をし、いつもそれなりの波にあたり、素晴らしい旅だったと思える旅をしてきました。その1つの理由は、どんなところにも1ヵ月は最低いたからだと思います。長い時には、4カ月を越えるほど1カ所にいることもありました。旅人である私は、自分の家のある辻堂に長い時間いられるだけの忍耐力がないせいもありますし、あまりに日本という国が波に飢えすぎているということもあると思います。例の如く、小さな波のつづく、そんなある日、石井氏の企画したバリツアーの出発の日がきました。もう4度目のバリで、今まで行ったバリの印象の波はノースショアから比べると、それほど力はなく、好きな方の波ではありませんでした。成田を石井氏と日本のトッププロ12名は予定通り出発し、バリにも予定通り着きました。イミグレーションも税関も、私以外なんの問題もなく通りました。しかし私は、パスポートの期限が3カ月しかなく、6カ月なければインドネシアには入れないと拒否されて、バリのエアーポートに一泊し、シンガポールへ行けば、パスポートを新たに取れるとのイミグレーションの話で、翌日ジャカルタを経由して、シンガポールに一人、バリをあとに行きました。エアポートで一番安いホテルを予約し、じっと牢獄のような安ホテルでバリに行けるのを夢に見ながら、赤道直下の毎日無風の35度を越えるような熱帯地で、1週間じっと待ちました。その時間の長さは、まるで真夏の刑務所で出獄を待つ囚人となんら変わりがないとでも言っておきます。弟子の石川光一に、日本からシンガポールまで戸籍抄本をもってきてもらい、普通なら2週間以上かかるところ、1週間でパスポートを取ることができました。そしてバリです。石井氏とトッププロたちに1週間ぶりで再会しました。バリでのツアーの残り期間はもう2週間しか残されていませんでした。しかし私のいなかった1週間の間に、それほどの波はなかったと聞き、波はこれからだと聞かされ安心しました。数日、波はフラットに近い日が続きました。そして1週間後、フルムーンにちかくなったころ、ウルワツに少しづつうねりが入り、今までのバリで出会ったことのないパダンパダンに、6フィートのうねりが入りました。その形とチューブのスペースは、自分の体をつつむのに十分すぎるほどありました。シンガポールのことがまるで100年前の、うっすらとも思い出せなくしてしまうほど、その波は美しかった。1本目の波のテイクオフで、空高く舞い上がったカモメのように、自由にマニューバーをとり、自由にチューブの奥に体をつつみこみ、それは、自分は自由な翼をつけた鳥であるのだと・・・・のる波のる波、それはどの1つをとってもチューブで、まるで夢に向かって突き進む鳥としか言いようがないほどです。美しい陶酔の時間でした。サーファーってなんて素晴らしいんだーサーファーって翼を持っているんだ。はっきり体全体で感じました。過去なんて関係ない、今と未来と・・・・・こんなに波を愛した瞬間が今まであっただろうか。その日誰よりも誰よりもパダンパダンの波を私はテイクオフした。全身の力はいくらパドルしてもパドルしても疲れなんか感じなかった。ただ体は波をのりきると決まって沖へ向っていった。ただ沖へ・・・・今、この瞬間の陶酔の世界は、波と自分だけだった。そして翌日6フィートが8フィートに、沖のようすは前日と少し違っていた。しかし私にとっては、何も変わらなかった。それはサイズとチューブの中のスペースが広くなっただけで、私の波との陶酔する日がもう一日あったという幸福感だけだった。又、チューブの中へ・・・今までの私の人生の中で、最も空高く舞上がった自由な翼をもった鳥になれたことは、この瞬間の2日間以外にはなかった。サーファーで良かったと心から思ったこともなかった。こんな時間を作ってくれたい石井氏に尊敬と感謝の気持ちを永遠に忘れることが出来ないと思います。ありがとう・・・・・。          坂本昇 」

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